団地のセルフリノベーション7つの心得
「広くて安い家に住みたい!」
「壁とか床を傷つけないか、びくびくしたり、傷かくしするのも嫌!」
そんな希望がかなえられる、団地でリノベ暮らし。
安く買える郊外の団地の部屋だから、リノベにもあんまりお金はかけたくない。
そこで選択肢に挙がるのが、セルフリノベーションです。
かくいう私もその流れでセルフリノベーションを選択しました。
とはいっても、人生初のセルフリノベーション、そして団地。
日曜大工の経験もありません。
「躯体って何? どこまで手を付けていいの?
道具は何つかえばいいの? 壁紙はどうやって剥がすの?」
はっきり言ってわかっていないことだらけでした。
そんな私がセルフリノベーションで部屋づくりをしていくうちに、
だんだんわかってきたことを、
【団地セルフリノベーション 7つの心得】としてまとめました。
どれも基本的なことですが、セルフリノベーションを成功させるためには
大切なことばかりです。
ぜひ、あなたのセルフリノベーションにお役立てください。
【団地セルフリノベの心得 其の1】
管理組合規約は買う前に必ず一読する
管理組合規約の内容って知っていますか?
規約は団地で暮らすために守るべきもの。
それまで戸建や賃貸アパート暮らしだった方には、なじみがないものですよね。
部屋のリフォームに関して、どんなことが書いてあるかというと、
・躯体への穴開けは禁止
・エアコンの配管は外壁を這わせてはいけない
・フローリングの遮音等級
・給水管の仕様も決まっていたり
・どんな工事に関しては届けが必要か
そんなことが書いてあります。
リノベーションをやる前には、というよりも、
その団地を買う前には、必ず一読してください。
お風呂を変えたいのに、ユニットバス禁止というところもあります。
そうなったら、よく検討・相談してみることが必要になってきます。
規約は決まりですから、守らないと当然怒られます。
躯体への穴開けなどのひどい違反に対しては、元通りにさせたり、
損害賠償なんてこともありえます。
そうはいっても、
「決まりだらけだったら面倒くさそう…」とか、
「決まりでがんじがらめ?」とか、おびえなくても大丈夫です。
規約の内容が古いままになっていることはよくありますが、
それほど変な決まりは書かれていません。
ただし、書いてないからと言って、やっていいことと悪いことはあります。
法律も同じですが、まずは常識の範囲内で行動することが大事です。
なにかもめごとが起きても、話し合いでわかりあえるのが良いわけです。
話してもどうしようもない場合は、守るべき決まりに照らしてみることになります。
団地で暮らすうえで、なによりも大切なことは、
集まって暮らしているのだという意識を持つことです。
管理規約はみんなで決めた決まり事。
団地は集まって暮らす場という意識が大切。
【団地セルフリノベの心得 其の2】
やってはいけないことは やらない
はじめてのセルフリノベーション。
いろんなことをやってみたいけれど、どこまでできるのか見当もつきませんよね。
そんな時は、してはいけないことから考えましょう。
DIYの人気が高まって、身近になったとはいえ、
法律で規制されている作業があります。
素人として、やってはいけないことの代表はこちら。
【電気・ガス・水道】
このなかでも、特に手を出したくないし、出せないのはガス工事です。
ガスは目に見えないし、何かあったら大惨事になってしまいます。
もちろん工事には資格が必要です。潔くガス屋さんに任せましょう。
電気工事も同じく資格が必要です。
ただし、こちらは比較的取得しやすい資格のようです。
しっかりと勉強が必要ですし、作業の経験も必要ですが、
これから暮らしていくなかで、持っていると何かと役立ちそうな資格です。
ちなみに、電気工事士の資格には、第1種と第2種があり、第1種の方が、上位資格です。
第2種電気工事士の資格を持っていると、一般住宅や小規模な店舗、事務所など、
600V以下の低電圧の配線や設備等の一般用電気工作物の作業ができます。
水道工事もやってみたくなることのひとつです。
ただし、水栓の交換や、温水便座の取り付け、パッキンの交換等、
止水栓より先にある機器等の交換にとどめておいた方がよいでしょう。
もちろん漏水には十分注意しなければいけません。
また、排水管は勾配を間違うと流れなくなったり、詰まりやすくなったりしますから、
こちらは素直に任せましょう。
最初にも書いたように、DIYは身近になってきました。
ですが、守るべきところは守っていかないといけません。
もし、他人に迷惑をかける人が増えたら、規制が厳しくなる可能性もあります。
そうなることを避けるためにも、なによりも、
同じ団地で一緒に暮らしている人に迷惑をかけないためにも、
やってはいけないことは、やらないという気持ちで臨みましょう。
ずっとDIYを楽しむためにも、
やってはいけないことは、やらない潔さが大事。
【団地セルフリノベの心得 其の3】
できるかできないか、考えすぎない
「自分にできるか不安です。」
こんな話をよく聞きますし、私もそうでした。
初めてのセルフリノベーションですから、できるかできないか悩むのは当たり前です。
ちょっと精神論に聞こえてしまうかもしれませんが、
できることだけやっていたら、できることは増えません。
できるかどうかわからないことに挑戦するからおもしろいのです。
とはいいつつも、いきなり自分の部屋で挑戦しないでよいこともあります。
例えばいまは、壁紙貼りや壁塗りなど、
体験という形でいろいろなところでワークショップが開催されています。
そういったイベントを活用することは賢い選択肢だと言えます。
事前に体験できることは体験して、わからないことを減らしていく努力はしていきたいですね。
セルフリノベに限らず、わからないことに挑戦するときに必要なことがあります。
それは、「勇気」と「情熱」、それから「考えすぎないこと」です。
できるかどうか、ではなくて、やりたいのかどうなのか。
そこが一番大事です。
そして、やりたいことだとわかったら、動き出してみる。
ここで考えすぎてしまうと動けません。
走りながら、考える。ここが重要です。
私は心配性なので、最初に全部できる方法を考えてから動き出したい。
その気持ちはよくわかります。
でも、いくら考えていたとしても、
作業を進めていくうちに、予期せぬトラブルや悩みは出てくるものです。
そこを悩むことで、新たな知恵がついたり、
できる人を探して新たな人とのつながりができたり、
そうやって乗り越えていくことも、セルフリノベーションのおもしろさです。
乗り越えられない壁はありません。
乗り越えられるまでその方法を探せば見つかります。
できない事を楽しむ。
楽しく乗り越えることで知恵がつく。
【団地セルフリノベの心得 其の4】
あいさつが暮らしの基本
賃貸アパート暮らしだったときは、
誰か引っ越してきたな~、ということが、音でわかっても、
一度も顔をあわせたことのない人がいました。
団地では間違いなく階段で顔を合わせます。
誰だろうこの人?みたいな感じを持たれるより、
毎回笑顔で、「おはようございます!」って言える関係の方が気持ちいいですよね。
その一歩は、引っ越しの時の挨拶。
ではなくて、リノベーションの工事をする前の挨拶です。
もっと言えば、購入前の検討段階が最初の接点です。
私がやるのは、買う前にその部屋の階段下あたりで、入ってくる人にあいさつすることです。で、返してくれる人には話しかけます。
「いい団地ですね。ここ買うかどうか見に来てるんです。」って。
そうすると、質問しても、「若い人が入ってくるかも」ということで、
けっこう親切に教えてくれたりします。
そこが第一歩です。
そして、購入後はリノベ工事をやる前に、工事の説明と挨拶に回りますよね。
ここで、顔あわせているかどうかで、かなり印象が違ってきます。
実は団地の管理人さんに寄せられる住人同士の苦情の多くは、
住人同士のコミュニケーション不足です。
洗濯や掃除の音がうるさいとか、ペットの声だとか。
同じような音がしていたとして、それが知っている人のところからなのか、
知らない人のところからなのか、それによって反応はかなり違ってきます。
もし音が知っている人のところからだったら、
夜掃除していても「昼間仕事で忙しいから夜になっちゃったのね」とか、
犬が吠えていても「あのワンちゃん、元気ね」とか「なにかあったのかしら?」
となる可能性もあります。
(もちろん、夜の掃除を避けるとか、犬を吠えさせないような努力が必要なのは言うまでもありませんが)
セルフリノベーションも若い人の間で認知が進んできたとはいえ、
団地に暮らす比較的高齢の方にとっては、
まだまだ「変わったことしている人がいる」というレベルです。
実際、セルフリノベ中に、どんなことやってるの?ということで、
同じ階段の方と仲の良い人たちが何人かで現場を見にいらっしゃったことがあります。
おそらく不安だったんだと思います。
現場を見て、話をして、安心して帰っていかれました。
新しいやり方が出てきたね、と見られるか、
変なことするな!と見られるか、
それは挨拶ひとつで変わる可能性もあります。
これから同じ団地に暮らす人たちが不安に思わないよう、
不審な人に思われないよう、
コミュニケーションを大事にしましょう。
コミュニケーションで大事なことは、
相手の気持ちになって考えてみることと、笑顔です。
それさえできれば、たいていのコミュニケーションはうまくいきます。
笑顔であいさつが第一歩。
作業を見に来てもらうぐらいがちょうどいい。
【団地セルフリノベの心得 其の5】
職人さんは大事なパートナー
「もうちょっと安くなりませんか?」
そんな風に頼みたくなる気持ちはものすごくわかります。
私もそうでした。
セルフリノベを考えるきっかけは、少しでも安くしたいという気持ち。
値切り交渉したくなるのも当然です。
でも、少し考えてみてほしいのは、あなたが職人の立場だったらということ。
「とにかく安く安く」といってくるお客さんに対して、気持ちよく仕事ができるでしょうか?
ましてや、「これ高すぎない?」とか言われようものなら、やる気は失せてしまいますよね。
職人さんは、あなたの部屋を理想の部屋にするという目標に向かって
一緒に進んでいく仲間だと考えてください。
私はリノベーションの現場にはなるべく足を運んで
職人さんと話をするようにしています。
もちろん、毎日は行けませんが、行けるときには差し入れを持ってあいさつしに行きます。
差し入れも普通に缶コーヒーとかお茶とかでいいです。
どんなものでも、持ってきてくれるってうれしいです。
以前バイク屋で働いていた時、差し入れを持ってきてくれるお客さんには、
普通以上に何かしてあげようと思っていました。
いつも手を抜いているわけではありませんが、
よくしてくれる人には、こっちも何かしてあげたくなります。
それが、返報性というものです。
大切なのは、いくら安くするかではなくて、いい部屋づくりをすること。
あなたの部屋を一緒に作っていこうという人たちと、
どれだけコミュニケーションをとって、あなたの気持ちに共感してもらえるかどうかです。
あなたが喜びそうだから、これもついでにやってあげよう。
そんな風に思ってもらえたら、それ以上にうれしいことはありません。
職人さんはリノベーションという旅の仲間。
仲間を大切にすることが良い旅の条件です。
【団地セルフリノベの心得 其の6】
レンガ積みではなく、教会づくり
仕事をしながらのセルフリノベーションには、時間的な大変さがつきものです。
仕事が終わってから壁をペイントしたり、
休みの日にタイルや床張りをしに来たり、楽な作業ではありません。
ときには、夜ひとりで作業しながら疑問に思ってしまうこともあるでしょう。
「こんなにしんどいなら、頼んだ方がいいんじゃないか?」って。
たしかに、作業をしているときはツライです。
セルフリノベーションを選んで見積もりが安くなったといっても、
自分が使っている時間を考えると、たいして得していないようにも思えるでしょう。
でも、覚えておいていただきたいことは、
暮らしはこの先もずっと続いていくということです。
リノベーションしている間だけで終わるものではありません。
セルフリノベーションを選んで、実践することで、
あなたの暮らしはこれまでとは全く違ったものになります。
自分が手掛けた部屋での暮らし、そこから得られる毎日の充実は、
きっとあなたの人生に大きな変化をもたらします。
有名な話ですが、「3人のレンガ職人」という話があります。
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3人の職人がレンガを積んでいるところに旅人が通りかかり、
それぞれに何をしているかを尋ねました。
最初のひとりは、「見てわかるだろ、レンガを積んでるんだよ。」と答えました。
もう一人に尋ねると、「壁をつくってるんだよ。」と答えました。
最後のひとりは、何と答えたかというと、
「教会をつくってるんだよ。このまちのみんなが集まってくる教会だよ。」と答えました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
どの職人が一番いきいきと仕事をしていると思いますか?
やっぱり最後の職人ですよね。
セルフリノベーションも同じようなところがあります。
レンガを積んでいると答えた職人のように、
今自分がしている作業だけを見ていると、
辛かったり、嫌になったりすることもあるでしょう。
決してそれが間違っているわけではありません。
作業すること自体が大好きな人もたくさんいますし、実際楽しいことです。
でも、もし途中で作業が辛くなったら、思い浮かべてほしいのです。
今つくっている部屋で暮らしている自分の姿や、
その部屋で幸せそうに暮らしている家族や大切な人のことを。
きっと素敵な笑顔があふれていますよね。
セルフリノベーションは教会づくり。
部屋での暮らしを思い浮かべて作業する。
【団地セルフリノベの心得 其の7】
セルフリノベ宣言をする
人間、追い込まれた時のパワーは計り知れません。
いっそ、周りに宣言して、後戻りができないようにしてしまいましょう。
という、狙いもありますが、本当は、仲間づくりです。
セルフだからといって、何も孤独にやる必要はありません。
みんなで楽しくやればいいんです。
リノベパーティ―という言葉もあるぐらいですから、
友だちを呼んで楽しくリノベーションしてしまいましょう。
友達の友達を連れてきてもらえば、つながりも広がります。
みんなでやれば、早く済むことはもちろん、意外な良いこともあります。
それは、写真が残せるということ。
ひとりでリノベしていると、作業の最初と最後は写真を撮れても
(大体、作業後の写真は撮り忘れてますが)
作業中は作業に夢中で、まず撮れません。
セルフリノベは人生の中でも、そう何度もあることではありません。
せっかくですから、写真に残しておきましょう。
アルバムなどをつくっても良いですね。
部屋の写真だけではちょっとさみしいですから、
ぜひみんなで作業している姿を残しておきたいものです。
けがには十分気を付けて、作業後には、
リノベの現場でほんとのパーティーもありですね。
セルフリノベをイベントに。
忘れられない想い出にしよう。
いかがだったでしょうか?
どうなったらセルフリノベーションが成功したといえるのかは人それぞれです。
もし、あなたが手掛けた部屋での暮らしが、
あなたにとって特別なものだと感じられたら、
それは成功と呼んでよいのではないでしょうか。
そして、数か月後か数年後かに思い出して、もう一回やってみたいと思えたなら、
それは大成功だったと言っていいでしょう。
毎日の暮らしを特別なものにしてくれることは、他にはそうそうありません。
そんなことができるチャンスがやってきたなら、
ほんのちょっと勇気を出して、挑戦してみる価値はあると思いませんか。