団地選びで失敗しない7つのチェックポイント
「団地暮らしもいいかもしれない。」
そう思ったあなたは、団地を探し始めるでしょう。
でも、ここで出てくるのがこの疑問。
「どうやって選んだらいいの?」
新築の家選びなら、住宅展示場などへ行ったり、
住宅会社のパンフレットを見たりします。
でも、団地はどうやって選ぶのか?
これについては、これまであまり熱心に語られることはありませんでした。
選び方がわからなければ、買うのは怖いですよね。
でも、もう大丈夫です。
築40年の団地に暮らし、深く関わっているからこそ伝えられる
7つのチェックポイントをまとめました。
これを読んで、あなたの団地ライフの一歩を踏み出してください。
団地選びのチェックポイント①
地域とライフスタイル
まず見るべきなのは「地域」です。
「地域」といっても、「駅徒歩何分」とか「東京まで何分」とか、そういうことではありません。
その団地のまわりの地域が、どんなところなのかということ。
ちょっとむずかしいですが、これはネットや広告ではわかりません。
現地に行くことが必須です。
実際に足を運んで、歩いたりしてみる。
一日では足りないですね。
何日か通ったり、時間帯もずらして歩いてみる。
自転車もいいですね。
そうすると、なんとなく、どんな感じの地域なのかが感じられます。
そして、大事なのは、その地域での暮らしが、
自分の求めるものなのかどうかということ。
ということは、
自分の求めるライフスタイルがどんなものなのかを知っておかないといけませんね。
部屋では、どんなふうに過ごすのか?
休みの日は、どこかへ出かけるのか?
何をしているときが一番ほっとするのか?落ち着くのか?
どんなものを食べているのか?
いま、できていることでなくても構いません。
理想とする暮らしをイメージしてみてください。
部屋づくりも、整理収納も、結局自分のライフスタイルを考えるところから入ります。
綺麗になった部屋、片付いた部屋でどんなふうに暮らしたいのか?
そこが出発点です。
団地選びだって、ライフスタイルについて考えることが大事です。
インターネットで物件検索する前に、ちょっと時間を取って考えてみましょう。
団地選びのチェックポイント②
建物のメンテナンス状況
建物は(建築当時の)耐震基準がどうかよりも、
暮らし始めてからのメンテナンスが大事です。
いくら新耐震基準でも、
メンテナンスを怠れば、建物は長くは持ちません。
そのメンテナンスの大きなひとつが、「外壁塗装」です。
「外壁塗装」はコンクリートの躯体を雨や空気中の水分から守ります。
なぜ守らないといけないかというと...
鉄筋コンクリートの建物は、名前の通り、鉄筋とコンクリートでできています。
鉄筋のまわりをコンクリートが覆っている形です。
鉄はご存知のように、水分に触れると錆びてしまいます。
そして、コンクリートはもともとアルカリ性ですが、
このアルカリ性のコンクリートが鉄筋を覆って、外気から守っていることで
鉄筋が錆びずにいられます。
ところが、時間が経って、空気中の二酸化炭素や水分が侵入することで、
徐々にコンクリートのアルカリ性が失われていきます。
これを「コンクリートの中性化」といいます。
中性化したコンクリートは、鉄筋を水分から守る力がなく、鉄筋を錆びさせてしまいます。
そして、コンクリートの内部で錆びた鉄が何をするかというと...
「爆裂」 です。
物騒な名前ですね...でもほんとにそうなります。
鉄は錆びると、体積が増えます。
コンクリートで覆われた中で、鉄筋の体積が増えるとどうなるでしょうか?
中からコンクリートを破壊してしまいます。
ほんとに、パンッっていう感じで中から破裂してしまいます。
そうならないために、外壁塗装でコンクリートを守ってやる必要があるわけです。
その外壁塗装をないがしろにしているとしたら、
建物に対する愛情が足りないかなあ、と感じますね。
通常12~15年に一回、大規模修繕といって、外壁塗装をやりなします。
常に新品みたいぴかぴかになっている必要はありませんが、
コンクリートを守る機能が失われてしまう前に外壁塗装はすべき工事です。
団地選びで、現地に行ったときには、外壁の様子をよ~く見ておきましょう。
そして、前回の外壁塗装はいつだったのか、今度いつの予定なのかも確認しておきましょう。
この部分は、管理事務所に行って購入検討していますといえば、快く教えてくれるはずです。
部屋の内見って好きですか?
私は大好きです。
不動産屋さんに連れられて、階段を上がっていくときとかわくわくしますよね。
どんな部屋が待ってるのかと思うと。
でも、わくわくしているだけではもったいないですよ!
部屋に入るまでの道のりでも、見ておくといい部分はあるんです。
忘れがちですが、毎日の暮らしに結構関わる、かなり身近な「階段」という部分。
しっかりとチェックしておきましょう。
(「階段」については、【意外と知られていない団地に関する6つのこと】にも書いてありますので、参考にしてください。)
団地選びのチェックポイント③
建物のエントランス
エントランスというとカッコよく聞こえますが、階段への入り口です。
階段室型の団地では、たいてい北側が入り口になってますよね。
その入り口周辺を見てみてください。
ゴミが落ちていたり、たばこの吸い殻があったりしませんか?
また、自転車置き場もあるはずです。
放置自転車があったり、放置バイクがあったり、置き方が雑だったりしませんか?
気持ちよく入っていけるエントランスは、ピシッと整理されていて、
脇には花や樹が綺麗に手入れされてたりします。
毎日通るところですから、気持ちよくなっている方がいいですよね。
団地選びのチェックポイント④
掲示板
通常、階段の入り口には、両脇にポストと掲示板が向かい合ってます。
掲示板もちらっと見ておきましょう。
かなり前のお知らせが残ってたり、
破れまくっていたり、
何にも掲示されていなかったりしないでしょうか。
住人の活動が活発なところは、いつも新鮮な情報が貼ってあります。
掲示板が足りなくて、新しく追加しているところもあるんですよ。
スゴイですね。
団地選びのチェックポイント⑤
階段の手すりや床
まずは、階段の幅。
広いところ、狭いところがありますね。
広い方がやっぱりうれしいです。
引っ越しの時とか、子どもがいる世帯は特にうれしいのではないでしょうか。
踊り場が柵になっているのか、カベになっているのかも違いですね。
柵の方が階段が明るい印象になります。
反面、土ぼこりや雨が吹き込みやすいですが。
手すりは、さびがひどかったり、塗装がボロボロだったりしてないでしょうか。
(もちろん近々塗装の工事をする予定であるなら、ダメなことではありません。)
床の汚れ具合も見ておきましょう。
染みついた汚れは取れないとしても、砂だらけクモの巣だらけではちょっとさみしいです。
ちなみに、階段の掃除に関しては、管理組合が業者に委託している場合と、
住人が担っている場合とがあります。
住人が担っている場合には、階段毎に違いがでてきますのでご注意を。
どうでしょうか、部屋に入るまでにも見ておくところはたくさんありますね。
これらは、絶対条件ではありませんが、
団地選びでは、これからの暮らしを想像する上で参考になる情報のひとつです。
さあ、お待ちかねの部屋の中です。
部屋の中を見せてもらうのは、ほんとにワクワクします。
いままでは図面だけで妄想してたことが、リアルに見えるわけですから。
いろんなところに目が行ってしまいます。
「このドアノブ、いい感じ!」とか
「このガラスもいいね!」とか。
そういうところに興奮しつつも、見るべきところはしっかりと見ておきましょう。
見るところはたくさんありますが、ここではその中でも特にここだけは!というところを挙げました。
団地選びのチェックポイント⑥
躯体壁の位置
多くの団地の構造は、壁式構造と呼ばれるものです。
(そうでない場合は、ラーメン構造となります)
壁式の場合は、壁で構造を支えていますので、壁がとても重要です。
間取りを変えたいからといって、壊すことはできません。
もしやってしまったら、莫大な金額が管理組合から請求されてしまいます。
そして、壁式構造の部屋の真ん中にある壁は、
だいたいが壊せないコンクリートの壁(躯体壁)だったりします。
リノベして、間取りをがらりと変えたい!という時は、
この壁の位置がネックになることも。
逆に言えば、コンクリートの壁以外の木で作られたような壁は、
全部壊せるということです。
最初、わたしはそんな躯体壁の存在すら知らずに、
壁を突き破って部屋をつなげて、ウォークスルーのクローゼットを創ろうと考えていました。
想像するのは自由です(笑)。
団地選びのチェックポイント⑦
排水管の位置
排水たて管と呼ばれる、天井から床下まで通っている排水管。
1部屋に、2~3本通っています。
1本は、トイレ排水。
1本は、キッチン。もしくは、洗濯・洗面・お風呂 と一緒になってます。
キッチンの排水たて管は、外のベランダに出ている場合もあります。
これら排水管は管理組合の物(共有物)なので、勝手に交換できません。
5階から1階まで通っていますから、もちろん勝手に移動もできません。
そこで、なにが問題になるかというと、
このたて管の位置によって、水回りの自由度が影響をうけることです。
キッチンをアイランドにしたい!!
洗濯機を違う場所に動かしたい!!
お風呂の場所も変えたい!!
そんなときには、それぞれの設備から排水たて管まで、
どうやって管をつなぐかが問題になります。
排水は、重力によって流れていきます。
排水管が水平だと、排水が流れていきません。
もちろん水ですから、上に登ることもできません。
なので、たて管につながる「横引き管」には、勾配がついています。
100cmの距離で、1cm下がる程度ですが、5メートル離したら5cmです。
結構バカにはできません。
移動させたい位置に持っていくためには、排水たて管からの距離がかなり長くなってしまう。
そんな場合は、位置を再度検討することが必要です。
⑥どこに躯体壁があるのか?
⑦どこの排水管に、どの排水がつながっているか?
このふたつは、団地リノベの基本中の基本です。
最初に必ず把握しておきましょう。
さて、これまで見てきた7つのチェックポイント。
おさらいしておきましょう。
まず最初は、「①地域」でした。
自分のライフスタイルと、その団地がある地域での暮らしがあっているのかどうか。
実際に周りを歩いてみることが大切です。
その次に、「②建物のメンテナンス状況」です。
その団地が建てられてからこれまでの間、どれだけ愛情を注がれてきたかが、建物の寿命を左右します。
耐震基準よりもある意味大事です。
外壁塗装の様子をよく見ておきましょう。
そして、「③建物のエントランス④掲示板⑤階段手すり」
団地特有の階段毎の雰囲気を見ておきます。
自転車置き場や、掲示板で、コミュニティに関してある程度の活発さが計れます。
どんな人たちが同じ階段に住んでるのか。
これから長いお付き合いになるわけですから、知っておくに越したことはありません。
部屋の中では、「⑥躯体壁の位置」と「⑦排水管の位置」です。
これらがリノベの自由度を左右します。
住みたい部屋を実現するためにも、要チェックです。
ここまで見てきて、見ておくべきチェックポイントについて気付くことがあります。
実は、見ておくべきところはどれも、
「自分ではどうしようもないところ」です。
地域や、これまでのメンテナンスや、エントランス、躯体壁、排水管。
どれも自分ではどうしようもありません。
逆に言えば、キッチンの位置や古い設備などはどうにでもなるということです。
団地選びをするときには、自分で何とかできるかどうか、
そこをよく考えて判断の基準にすると、買った後や、暮らし始めてから、
「しまった!」というようなことにならなくて済みます。