整理の視点で団地を考える
実は私、こう見えて整理収納アドバイザー1級の資格保持者です。
部屋づくりが楽しくて、いろいろと考えていたら、整理収納の知識習得にも目覚めてしまった。
そんな感じです。
今回は、そんな整理収納の視点から「団地」について考えてみます。
快適な暮らしに欠かせない「整理」
日本人は本当に「収納」が上手ですね。
少しの隙間を見つけてはモノを収めようとします。
隙間収納や突っ張り棒の活用など、その執念には本当に頭が下がります。
しかし、本当に必要なことは「収納」以前のこと、「整理」なのです。
「整理」とは、「不要なモノを取り除くこと」と教わります。
言い換えれば、「自分にとって必要なモノを見極めること」です。
この「整理」をせずに、新しいモノをどんどん手に入れ続けると部屋はどうなるでしょうか。
いくら収納技術を駆使しても、いくら機能的な収納家具を手に入れようとも、
部屋にはモノがあふれ、最後は汚部屋(おへや)になり、
快適な暮らしを送ることはできなくなってしまいます。
限られた空間の中で快適に過ごすためには、
空間にとっての、そして自分にとっての最適なモノの量を理解することが大切です。
手に入れようとしているモノは本当に必要なモノか、
それを手に入れる時には今持っているものを手放せるか、
そして手に入れるモノはそれが使えなくなる時までしっかりと手入れをして使い尽くせるか、
それができなそうなモノは手に入れない。
それらを心掛ければ、自分にとって大切なモノだけに囲まれた快適な生活を送れるようになります。
日本という部屋の行く末は…
日本と住宅、特に集合住宅についても同じことが言えます。
狭い土地に、日本が誇る技術を駆使して、高層のマンションを新築しています。
2010年末時点で、全国のマンションストックは571万戸あり、
今後も年間10万戸以上もの新築マンションが供給され続けていくと予想されています。
2013年の総務省の統計では、全国の空き家は820万戸。
5年前の調査から63万戸増加しています。
現在ですら空室があるにもかかわらず、何故まだ新築が必要なのでしょうか?
しかも、これから住む人はどんどん減っていく時代に。
新築マンションを好む人達は移り住むかもしれません。
その時、空いた部屋はどうなるのでしょうか。
住む人も無く、使われることなく朽ちていく、そんな部屋がこれからも増えていくのでしょうか。
使わなくなったから捨てます、と簡単には処分できないのがマンションです。
既に持っているモノを捨てることもできないままに新しいモノを手に入れる。
日本という部屋の将来は...
誰も使わない、管理もされないマンションであふれる汚部屋でしょうか。
手放し方、わかりますか?
部屋がモノであふれてしまう理由は、
持っているモノを捨てずに新しいモノを手に入れてしまうからです。
モノが捨てられない典型的な理由の一つに、「捨て方がわからない」ということがあります。
代表的なモノは、ぬいぐるみや人形です。
買うときは、かわいいと思って買ってみたものの、数年後にはそうでもなくなったり。
その時にすぐに捨てられればいいのですが、
顔のついたモノはゴミとしてなかなか捨てにくいものです。
それで、どうすれば良いかわからないまま、部屋に残していることが良くあります。
それを防ぐ方法としては、買う時に捨てる時の事も考えてみることです。
万が一要らなくなったときに、自分にはそれが捨てられるか?
最期まで面倒をみることができるか?を考えます。
捨てられないなら買わないぐらいの気持ちでいる方が後で困ることはないでしょう。
ちなみに、人形やぬいぐるみは神社などで供養していただけますが、マンションはどうでしょうか?
いらなくなった(人が住まなくなった)マンションは、どうやって処分すればいいのでしょうか?
マンションも捨て方がわからない、捨てる時の事を考えていないのであれば、
もう建てるべきではないと言えるのではないでしょうか。
整理収納の考え方は、ひとの暮らしに直結しているもの。
それは単に部屋の中だけの話ではなく、地域や日本全体にも当てはまります。
日本という限られた空間のなかで快適に暮らしていくためには、
その空間に入れるモノと、真剣に向き合っていかなければいけません。
そんな時代に私たちは生きています。