団地の資産価値
「資産価値を上げる」
不動産、特にマンションにおいて、良く耳にする言葉ですね。
しかし、私には今一つピンとこない言葉でした。
住むところの資産価値って何でしょう?
「資産」とか「価値」という言葉には、お金のイメージがありますよね。
ということは、売るときにいくらで売れるか?ということなのでしょうか?
でも、住むところの価値は、それだけではない様な気もします。
ご存知のように、古い団地の値段は、どんどん下がっていきます。
それは、この日本という国の不動産マーケットの中では避けられないでしょう。
不動産の価値を、築年数と駅からの距離、そのまちの人気度、などで測るようにできているので。
資産価値を物件の価格としてだけ考えていると、資産価値を上げるなんてことはほぼ不可能なのに、
なぜ「資産価値を上げる」というセリフが出てくるのか?
ずっと腑に落ちないまま過ごしてきましたが、
最近になって、ひとつの答えのようなものに出会いました。
先日、うちの団地の管理人さんから
「以前勤めていたマンションでは、管理組合は資産価値を守るために必死になっていた」
という話がでました。
私がすぐに「資産価値を守るってどういうことですか?」と訊くと、
少し考えてから、
「コミュニティを守る、ということでしょう」という答えが返ってきました。
私はその答えにすごく納得出来ました。
「資産価値=コミュニティ」
コミュニティは人の集まりであり、少し拡大して解釈すると、
「資産価値=そこに住む人たちとの暮らし」
という風にも考えられます。
それは私にとって、たくさんの人に知ってもらいたいと思っているものでもあります。
そんなことがあってから数日後、ルームシェアが出来るようにリノベ中の団地で、
部屋を見学したいというお話がありました。
その団地で発行している広報紙にルームシェアについての記事を寄稿していたので、
それを見た同じ棟の住人の方が興味を持って、連絡してきて下さいました。
2~3人でいらっしゃるのかと思っていると、いらっしゃったのは女性7人!
ちょっと驚きましたね。
よく話を聴いてみると、ルームシェアはこれまでなじみのない住み方なので、
いったいどんな人が住むことになるのか、
その団地での暮らしがどうかわっていくのか、ということに不安をお持ちでしたが、
その団地の暮らしの良さを理解してくれる人に住んでもらうつもりです、
という話をすると、安心して下さいました。
彼女たちは、決して新しい若い入居者を拒否しているわけではなく、
なじんでいきたいが、どう接していいのかわからず、戸惑ってしまうそうです。
私の役目の一つは、そういう元の住人とあたらしい住人をうまくなじませることだと、改めて感じた出来事でした。
そして、「コミュニティを守る」ということを実践している彼女たちが住んでいるあの団地は、
価格自体は安いけれども、やはり私にとっては資産価値が高い団地だと再認識しました。
残念ながら、団地の価格がこの先劇的に上がることは不可能でしょう。
でも、何をもって「資産価値が高い」とするのか、値段だけではない部分にも目を向けてみてください。
きっと自分が住んでいる団地のことを、見直すと思いますよ。
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